保育士等キャリアアップ研修でスキルを高める

保育士等キャリアアップ研修でスキルアップ

厚生労働省は2017年4月から、保育士等キャリアアップ研修をスタートさせました。

保育士は、専門的な知識と技術で児童の保育などを行う専門職です。
しかしこれまでキャリアアップの指針が設けられておらず、自己研鑽や資質向上のための研修などが体系的に行われていませんでした。

このため保育の現場では初任後から中堅の管理職員までの保育士に対して、職務内容に適した専門知識や技術の向上が得られにくいという課題がありました。

そこで、保育所や保育園における保育の課題解消や職員のキャリアパスなどを考えた、体系的な研修プランのガイドラインが作成されたのです。
これが、保育士等キャリアアップ研修ガイドラインです。

保育士等キャリアアップ研修では、厚生労働省が提唱するガイドラインにそって、段階的にレベルアップできるようカリキュラムが組まれています。
そして、この研修を受けてスキルアップすることで、収入が増えるよう工夫されています。

というのも研修を受講してスキルを高めた人に対して、職務別リーダー、副主任保育士、専門リーダーという役職を新設し、役職手当てを支給することになったからです。
実務年数などの規定を満たした人が、研修を修了すると、職務別リーダーは月額5000円、副主任保育士と専門リーダーは月額4万円が支給されます。

保育士は他の職業に比べて給与水準が低いことが、離職率を高める大きな要因となっていましたが、スキルアップによって給与改善を進めるための施策といえるでしょう。

保育士等キャリアアップ研修のメリットと注意点

保育士等キャリアアップ研修は、誰でも研修を受講できるわけではありません。
職務分野別リーダーは園長と主任を除いた5分の1の人数、副主任保育士と専門リーダーは園長・主任を除いた3分の1の人数までが上限となっています。
さらに、これらの手当は個人に支給されるのではなく園にまとめて支給されるので、分配方法に関しては円任せになるという点にも注意しなければいけません。

ひらたくいえば、研修を受ければ月に5000円あるいは4万円の支給が受けられる可能性はあるものの、円によってはそれ以下の場合もあるということです。

しかし、明確なキャリアアップの指針ができたことで、今後の働き方やキャリアプランを立てる上で大きな参考になることはまちがいありません。

また、結婚や出産などで離職して職場復帰する場合でも、キャリアアップ研修を修了していれば、そのキャリアが認められるのもメリットです。
このため潜在保育士の職場復帰でも、有利な条件で就職できる可能性が広がってきました。

先輩保育士の実例

実際にキャリアプランを受けた先輩保育士さんの事例をみてみましょう。
キャリア4年、高知県で働くAさんは、2018年度のキャリアアップ研修を受けないかと園から提案されて、受講を希望しました。
そして、現在5年未満の保育士の基礎ステージとして、研修を受けているところです。
ここで、基礎的な研修を終了したら、来年はキャリア5年~10年の中堅ステージのキャリアプランを受講して、さらにキャリアアップを目指す予定です。
そして、キャリア7年以上たった時点で、専門リーダーになるための研修を受けたいと希望しています。
まだ、始まったばかりの制度なので、右も左もわからないながら、段階的にキャリアアップできる具体的な目標ができたので、とてもやりがいを感じると抱負を述べておられます。